[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ハードカバーで上下巻合わせて3200円という大作なので、今回も図書館で借りてきた。発表直後に予約を入れたので年末に何とか間に合った。
警官の血 上巻 佐々木 譲 新潮社 2007-09-26 売り上げランキング : 833 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
警官の血 下巻 佐々木 譲 新潮社 2007-09-26 売り上げランキング : 685 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
あらすじ
戦後直後から現代までに渡る警視庁警察官3代の軌跡を描いた作品。
戦後の警察組織再編における大量採用で警官となり、地元住民のための警官になりたいと派出所勤務を目指した男、安城清二。
しかし、清二はようやく手に入れた派出所勤務三ヶ月目、派出所隣の寺院の火災が起こった夜、現場を放棄し、不審な死を遂げる。
父の背中を見て育ち、自分も派出所勤務を望んだ清二の息子民雄。しかし民雄の願いとは裏腹に、公安捜査のため学生運動への潜入捜査を命じられ、過度のストレスは民雄の心を病ませる。
その苦しみの果てに、ついに念願かない、父と同じ派出所勤務を得る。
民雄はそこで父、清二が捜査をしていた二つの殺人事件を追ううちに、清二の死の謎の手がかりを得るのだが……。
物語は清二、民雄、和也と三代に渡り展開し、ある一連の事件の謎と、その謎への捜査を縦軸として、復興期、高度経済成長期、そしてこの現代の各警察史のエピソードが語られていく。
それぞれが時代を彩る珠玉のエピソードで非常に引き込まれる。
とくに、民雄の公安潜入捜査の息詰まる展開は白眉の出来だ。
その中で最後に、祖父が捜査を行い、父が手がかりを掴んだある一連の謎が孫の代により明らかになる。
その展開にはカタルシスに欠けるかもしれないが、三代に渡って積み重ねてきた血の重みがある。
全く正直に言ってしまえば、第一章の清二の時点で私は事件の真相が読めたのだけど……。それはともかく、分かっていても祖父や父の想いを継ぎ、悲願を遂げたあの場面にはぐっと来るものがあった。
三人とも全く違う警官像を持っている。警官の倫理とは、信念とは、正義とは、という深いテーマを非常に考えさせられた。
独り言だが、この三代三人は警官として一度も親子肩を並べてないのだよね。それでこの本の評価が変わるわけ出ではないけど、個人的には残念だった。これだけ違う警官像とキャリアを持つ親子が話していたらきっと面白い話が出来たとも思うのだが。
800ページ弱の長編ながら、非常に引き込まれて読みやすい本という印象。
警察小説が初めてで、清二、民雄の時代に生きていなかった私ですら十分に面白いと感じせられたリーダビリティは高く評価できるだろう。
このミスに新年早々よい本に出会わせてもらい、今年はよい年だなと思えた正月でした。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
アクロイド殺人事件(アガサ・クリスティ)
生贄を抱く夜(西澤保彦)
異邦人 fusion(西澤保彦)
エジプト十字架の謎(エラリー・クイーン)
江戸川乱歩傑作選(江戸川乱歩)
解体諸因(西澤保彦)
彼女が死んだ夜(西澤保彦)
99%の誘拐(岡嶋二人)
黄金色の祈り(西澤保彦)
クビキリサイクル(西尾維新)
九マイルは遠すぎる(ハリィ・ケメルマン)
極限推理コロシアム(矢野龍王)
皇国の守護者(佐藤大輔)
西城秀樹のおかげです(森奈津子)
十角館の殺人(綾辻行人)
小生物語(乙一)
涼宮ハルヒの憂鬱(谷川流)
全てがFになる(森博嗣)
タイム・リープ あしたはきのう(高畑京一郎)
ダブルキャスト(高畑京一郎)
手紙(東野圭吾)
天帝妖狐(乙一)
DDD(1)(奈須きのこ)
電脳娼婦(森奈津子)
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(リリー・フランキー)
独白するユニバーサル横メルカトル(平山夢明)
ドグラ・マグラ(夢野久作)
夏の夜会(西澤保彦)
麦酒の家の冒険(西澤保彦)
人のセックスを笑うな(山崎ナオコーラ)
美女と野球(リリー・フランキー)
病牀六尺(正岡子規)
富嶽百景(太宰治)
平面いぬ。(乙一)
ペンギン革命(筑波さくら)
坊っちゃん(夏目漱石)
マリア様がみてる 仮面のアクトレス(今野緒雪)
マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵(今野緒雪)
マリア様がみてる クリスクロス(今野緒雪)
戻り川心中(連城三紀彦)
名探偵はもういない(霧舎巧)
宵闇眩燈草紙(八房龍之助)
妖奇切断譜(貫井徳郎)
ワ