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あらすじ。
五月雨荘という古いアパートに住む主人公、紅真九郎は16歳の高校生ながら、揉め事処理屋という顔も持っている。
ある日、真九郎が尊敬する揉め事処理屋柔沢紅香が一人の少女を連れてくる。彼女の名は九鳳院紫(くほういんむらさき)。大財閥九鳳院家の令嬢で、しばらくの間彼女をかくまって欲しいという依頼だった。
快く引き受けた真九郎だったが、始まった共同生活は波乱ばかり。
そんな中でも互いを認め始める二人だったが、そんな二人に危険が迫ってきていた。
主人公は辛い過去があって、ヒロインには秘密がある。オンボロアパートで個性的な住人たちと共同生活があり、ラブコメあり、バトルあり。
本当にべたな少年漫画的設定なんだけど、これが思った以上に良かった。
まず第一に読みやすい。
ラノベでも、文章が凝っているせいで、カッコいいけど読むのが疲れるものや、あまりにひどい文章で数行ごとに変な表現に引っかかったり、読み直したりするものもあるけど、この著者の分は非常に読み易い。
飾らない文章でストレスなく読める。それでいて十分面白い。
第二に受け入れやすい主人公。
真九郎は思春期的な現状や将来の悩みも抱えてる等身大な主人公だ。それなりに辛い過去を背負っていたり、実は結構強かったり、周囲の女の子に持てまくってるのに鈍感だったりと主人公特性大盛りだが、素直な性格で嫌味に感じない。主人公が自分にとって認められるやつがどうかは、ライトノベルにとって重要な要素だと私は思っている。
そしてなんといってもヒロインの紫。
いや、これはやられた。
彼女、何歳だと思います?
なんと7歳。ティーンですらない。
犯罪だ。
特殊な環境で育ったこのお嬢様は世間知らずでわがままで、社会常識がずれまくってるのだが、この天真爛漫さがまた可愛く書けている。
二人の関係は、恋愛どうこうっていう数歩前の、お互いに大事な人っていうレベルで留まっているのだけど、このへんのさじ加減で微笑ましい感じに仕上がっている。
主人公を囲むサブヒロインもなかなかいい。
一人は幼馴染の銀子。情報屋の孫で実家はラーメン屋。
気難しくて主人公に文句を垂れながらも手助けしてくれる。
もう一人は、昔の修行先で一つ屋根の下で暮らしたお姉さん的立場の夕乃、清楚で可憐な印象を受けるが、鈍感な真九郎に結構ダイレクトにモーションを掛けてくる。
好ポジションにつけていた二人に前からさっそうと主人公をかっさらったのがまさかの7歳児。
銀子は冷ややかに、夕乃は隠さず妬いているところがまたにやにやポイント。本当にひどいロリコンだな真九郎。
いやー分かっていてもいい、こういう展開で布団の上をごろごろ転がるのがライトノベルの醍醐味だ。
あえて難点を挙げるなら、ちょっと端々に鬱だったりグロだったりする描写が見受けられるところか。
人が死ぬ場面だったり、真九郎の過去の話なんかは読むのが辛い箇所がある。特に終盤明らかになる紫の秘密なんかはかなりエグイ話になっている。
この辺は多分著者の趣味が出てるんだと思う(続刊の『ギロチン』ではかなりの数の人間がえげつない方法で死んでいったりする)。五月雨荘の和気あいあいとしたパートと、本筋のシリアスで陰鬱な展開の落差は読者を選ぶかもしれない。
それでも、真九郎と紫のカップルはかなり微笑ましいので、おすすめ。
山本ヤマトのイラストも美麗で作品にぴったり。
マンガ、アニメも楽しみにしている。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
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