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作者の法月と同名の推理作家“綸太郎”が探偵役の本シリーズ。このミス1位ということで期待して読んだ。
あらすじは以下。
友人の紹介で、綸太郎はアマチュア探偵として翻訳家の川島敦志からの依頼を受けることとなった。
それは先日亡くなった敦志の兄でもある、彫刻家、川島伊作の遺作となった彫刻についてであった。
川島伊作が病により息を引き取ったその夜、何者かがアトリエから彫刻の頭部を切断し、持ち去ったというのだ。
その彫刻は、伊作の娘、江知佳(えちか)がモデルとなったもので、彼の代表作『母子像』の集大成となるはずのものだった。
個人の名誉のためとして極秘に依頼を受けた綸太郎だったが、捜査をするうちに、事件はついに本物の生首が届けられるという猟奇殺人に発展し……。
読了後の素直な感想を言えば、良くも悪くも探偵小説、といったところか。
探偵の捜査により少しずつ事件のパーツが集まり、おぼろげながら事件の全体像が現れ、最後にきちんと締める。
ただ、少し引っ張りすぎた印象は否めない。
事件としては、彫刻の頭部切断事件と、頭部切断殺人事件の二つだが、二つは表裏一体の関係にあり、ようするにネタとしてはワンアイデアなのだ。
それでも捜査の過程が楽しめれば探偵小説としては成功だったのだろうけど、少々盛り上がりに欠けた点が残念だ。
綸太郎は今回いいとこ無かったし。
彫刻事件の方がメインとなってしまうの話なので、被害者があっさりと殺される部分や、犯人の薄さが少し気になる。
しかし、後半の怒涛の展開は面白い。
なぜ彫刻の首は切断されたのか?
前半に少々退屈なばかりに入れたインサイドキャステイング手法の解説が後半に一気に意味を成す。
彫刻技術をあれほど巧みにミステリーに組み込んだのは、見事と褒めたい。
また、後味が悪いとの評判もアマゾンの解説で見かけた。
勘違いと不幸な偶然積み重ねが招いた悲劇は、救いがないものであり、読者も真相を知った時に、被害者が明らかになったときに続き、二度目のやるせない無力感を感じただろう。
真相解明でカタルシスが得られない作品だけに余計に後味の悪さが立ってしまうのではないだろうか。
だが私にとって、この程度の「苦味」はコーヒーのようなもので、後味の余韻すら楽しめた。
私は西澤保彦という劇薬の後味を知っているので。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
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