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自称小説サイト管理人七貴の、書評とだらだらとした日常を送り続けるブログ。
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新生活もひと月経つわけですが、どうにも毎日過ごすだけで精一杯という感じでして、面目ない。

長文考えるのも少々しんどいのだが、更新をこのまま休むのも銅貨と思う。なので読んだ本を短く紹介していこうと思う。


春期限定いちごタルト事件春期限定いちごタルト事件
米澤 穂信

東京創元社 2004-12-18
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ミステリーではあるが、学園モノで事件も殺人などはなく、日常の謎といったところなので、ライトノベルの感覚に近い。小鳩くんと小山内さんのキャラクターは一見よくあるタイプなのだが、おもしろいひねり方をしていて楽しめた。謎解きよりも小山内さんの正体こそこの小説のミソ。甘いと思ったイチゴが実は梅干だった、みたいな。

誰か Somebody誰か Somebody
宮部 みゆき

光文社 2005-08-20
売り上げランキング : 55674

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宮部みゆきのミステリ。
今多コンツェルン会長の娘と恋愛結婚し、娘をもうけ、コンツェルンの広報室に勤務する杉村三郎は、義父のある頼みを受ける。
それは、会長の専属運転士だった父親の一生を本にしたいという娘二人の手助けをすることだった。
運転士だったと男は少年の乗る自転車に撥ねられ、帰らぬ人となっていた。娘二人は本を出すこで名乗り出ぬ犯人に父のことを知らせたいという。杉村は男の過去の調査を始めるのだが……。

愛する妻と娘、義父はコンツェルンの会長、不満の無い仕事、何不自由ない生活……主人公、杉村は自他共に認める幸せ者だ。

でも、幸せとはなんだろう。
そんな問いかけがただよう小説である。
事故死した運転手が最後まで秘密にしようとした過去に何があるのか。それが明らかになったとき、人は誰しも秘密があって、分かり合えないものであり、誰もが不幸せであり、だからこそ幸せでいられるのだ、そんなことを思った。
トリックやロジックといった面白さのある小説ではないが、心に何かを残す作品である。


パーフェクト・ブルーパーフェクト・ブルー
宮部 みゆき

東京創元社 1992-12
売り上げランキング : 50188

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『誰か』と共に古本屋で買った一冊。でも手元にあるのは表紙のイラストがひらいたかこの描いたジャーマンシェパードのものである。

引退した警察犬マサは蓮見親子の経営する探偵事務所で暮らしている。
高校野球のスター、諸岡克彦の弟進也を家出から探し出すという依頼を受けた蓮見探偵事務所だったが、一向は進也と共に、ガソリンで火をつけられた諸岡克彦の遺体を発見してしまうのだった。

犬の視点から物語を見るというのが面白い一冊。
高校野球のスターの死と、製薬会社への恐喝事件。関係ないように思えた二つの事件の絡み合った糸を解いていくと、そこに罪深き真相があきらかになっていく。

この作品は宮部の初長編である。初長編でこれだけの作品を書いたことに素直に驚くが、近年の作である『誰か』に比べると粗が目立った。

高校野球や薬剤についてかなりの取材を行ったことは窺えるが、それが消化しきれなかったのだろうか、真相を全部ぺらぺら喋らせてしまったのは巧くなかった。同じく取材の労が感じられる『誰か』はそれをストーリーと設定の中に巧く消化していることが相対的に分かった。

マサの視点も少し無理があったように思う。ご都合主義で犬にしては頭が良すぎるし、うまくいきすぎる。まあ、犬が完全に人間の言葉を理解しているって時点でファンタジーなので野暮なことは言いたくないが。

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