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2006/11/29森奈津子『西城秀樹のおかげです』 エロ、ギャグ、そしてバカ。読まず嫌いでした。
先週『西城秀樹のおかげです』と一緒に借りてきた森奈津子2冊目。
タイトルがコレで表紙がアレだったので、ちょっとカウンターのお姉さんに出しづらかった。
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内容はSF設定の官能小説の短編集といったところ。
SF的な設定を存分に生かして、倒錯的でエロティックな官能小説に仕立てている。
前回の『西城秀樹のおかげです』と違い、笑いは極めて少ない。その結果、森奈津子の倒錯的な性愛と情愛の形が色濃く浮かぶ作品集になっている。
以下、簡単に各編に解説を加える。
西澤保彦の森奈津子シリーズを読んだが、さっぱり理解できなかった七貴は、とりあえず評価を保留し、書評を封印。小説の主人公のモデルである、実在の作家、森奈津子の著作を読んでみる事にした。
というわけで、図書館から借りてきた『西城秀樹のおかげです』読了。
いや、正直なめてました。脱帽。読まず嫌いでした。
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森奈津子は少女小説でデビュー。現代小説からSF、ホラーまで、児童文学も官能小説も手がける作家である。その作品はレズビアン、バイセクシャルといった性愛のコアなテーマを描いたものが多い。
『西城秀樹のおかげです』はエロとギャグをふんだんに交えた異色の短編集。いや、森奈津子は“そういう作家”なのだから、異色というのも違うか。
レズビアンやらバイセクシャルやらサド、マゾ、その他変態大行進の登場人物たちで、インパクト絶大。
SF的やファンタジー的な設定も大いに生かしながら、抱腹絶倒の作品集に仕上がっている。端的に言ってしまえば「笑えてエロい、そしてバカ」
以下、簡単に紹介とコメントを書いてみる。
が、マ行の本棚におじさんが座り込んでいて、ちょうど「森」の辺りだったので、本を取れない。手持ち無沙汰で隣の本棚を眺めたいたところ、刺激的なタイトルがあったので、つい、手に取った。
山崎ナオコーラについては、文学賞取った時、ネーミングと、本書のタイトルのインパクトが大きくて覚えていた。朝日新聞の日曜に挟まれるbeにエッセイを連載していてそれを読んでいるということもあり、読んでみたいと思っていた著者でもあった。
おじさんは、中腰のまま、まだ本棚をにらみ付けているので、冒頭だけと思って読んでみる事にした。短かったので、結局全部読んだ。
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今回のは、少々身内向け……というか、サークルのメンバー向けに書いた小説なので、この場では公開ができないのが、なんとももどかしいが。
話自体は完全にフィクションなんだけど、舞台を某大学そのままに使ってしまったので、いろんな意味で公開は差し控えなきゃならない。
公開できないことに書き終わってから気づいた。なにやってるんだ、私は。
相変わらず活字を読む気力が出ない。調子いいときは一日一冊読んで、もう一冊手が伸びるくらいなんだけど、どうにも本を読むのがつらい時がある。小説創作と書評のサイトなのにこのありさまだ。
土曜は、レポートも一つ書いてた。火曜に提出のやつだ。
私の専攻とは全く関係ない講義で、おじいちゃん教授が誰も聞いてないような話を続ける、空回り気味の講義だ。既に四分の一ほどが出席しなくなり、出席した生徒の半分は寝ているという状態になっている。
このおじいちゃん教授、私が4年間講義を受けてきた教員の中でも、講義べたな部類に入ると思う。
で、このレポートの内容が、エッセイや、旅行記などに出てくる、「自然地理的な描写」を引用し、それについてのコメントを書けというよく分からないものだった。
自然地理的な描写、と言われましてもというのが、学生たちの反応だったのだ。私も同感だ。
エッセイはあまり読まないし、旅行記なんてついぞ読んだことがない。
最初に思いついたのが、高校の時に読んだ太宰治の「富嶽百景」で、次が出なかったので、結局「富嶽百景」で書くことにした。
書評レポートは大学1,2年の時によく書いたが、最近は専門のレポートばかりだったので、少し嬉しくもあった。
それで、話は戻るわけだが、土曜に、図書館に行き、太宰の全集を手にとって実に数年ぶりに読んでみた。
太宰治の「富嶽百景」や他の著作は、今では青空文庫でタダで読めるので、覗いてみるのもいいかもしれない。
青空文庫
高校一年の時分に読んだ時の記憶は、富士山の麓で太宰がドテラを着て脛毛を出して、井伏鱒二が屁をこいたぐらいのものだったが、読み直してみると結構面白かった。
太宰の富士山への悪態たっぷりの評論がいい。「実際の富士は鈍角も鈍角、のろくさと広がり、(中略)秀抜の、すらと高い山ではない」とか、「ニッポンのフジヤマを、あらかじめ憧れているからこそ、ワンダフルなのであって、(攻略)」などなど、言いたい放題。
特に、御坂の富士をみて、「おあつらいむきの富士である」「これは、まるで、風呂屋のペンキ絵だ」「私は、恥ずかしくてならなかった」と感想を述べるのがいい。そりゃペンキ絵のほうが真似してるんだなんて、野暮なことは言わない。ペンキ絵を富士が真似たんだなんて言い切って憮然としてるのがなんともこの人らしい。
ニッポンのフジヤマがワンダフルのくだりは、やっぱり高校の時に笑った覚えがある。いいセンスしてるよなあ。鹿爪らしく書いてるくせに、所々に微妙なユーモアが入っていて面白い。
あと、下宿していた茶屋の娘さんの描写がかわいい。
富士に降った雪を見せようと、太宰を起こして、得意そうに《「素晴らしいでしょう?」》と普段使わないような言葉遣いになるお嬢さん、萌へ。
あと、奥さんとの馴れ初めもいい。
帰りにのバス停まで送ってくれた娘さん(婚約者)に向かって、「どうです。もう少し交際してみますか」(原文まま)と言う太宰。
その後の一文が《きざなことを言ったものである。》ですよ。
自分で言って、書いて思い出して、そこで照れてんのかよ、太宰。萌へ。
他にも、太宰の姿をいちいち想像すると結構楽しく読める。
おかしい。……なんか、数年のうちに、変なフィルターが脳内にセットされたようで、文学を妙な方向に楽しんでしまうようである。
レポートは大真面目で書いたが、十分楽しめたので、中々得した気分になった。
書評は書いたのだが、公開は見送ることにする。理由は、かなりネガティブな評価になったのが一つと、正当な評価を下すのにはやっぱり森奈津子の作品を一つくらい読んでおきたいと思ったのが一つ。
ネットであちこち見たところ『西城秀樹のおかげです』が評判がいいようなので手に入れたいところ。
ここ数日書評を書く気にもならないので、少々お待ちを。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
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