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自称小説サイト管理人七貴の、書評とだらだらとした日常を送り続けるブログ。
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 金曜土曜をほとんど執筆して過ごす。久しぶりに「小説書いたー!」という感じですこぶる機嫌がいい。
 今回のは、少々身内向け……というか、サークルのメンバー向けに書いた小説なので、この場では公開ができないのが、なんとももどかしいが。
 話自体は完全にフィクションなんだけど、舞台を某大学そのままに使ってしまったので、いろんな意味で公開は差し控えなきゃならない。
 公開できないことに書き終わってから気づいた。なにやってるんだ、私は。


  相変わらず活字を読む気力が出ない。調子いいときは一日一冊読んで、もう一冊手が伸びるくらいなんだけど、どうにも本を読むのがつらい時がある。小説創作と書評のサイトなのにこのありさまだ。



 土曜は、レポートも一つ書いてた。火曜に提出のやつだ。
 私の専攻とは全く関係ない講義で、おじいちゃん教授が誰も聞いてないような話を続ける、空回り気味の講義だ。既に四分の一ほどが出席しなくなり、出席した生徒の半分は寝ているという状態になっている。
 このおじいちゃん教授、私が4年間講義を受けてきた教員の中でも、講義べたな部類に入ると思う。
 

 で、このレポートの内容が、エッセイや、旅行記などに出てくる、「自然地理的な描写」を引用し、それについてのコメントを書けというよく分からないものだった。

 自然地理的な描写、と言われましてもというのが、学生たちの反応だったのだ。私も同感だ。

 エッセイはあまり読まないし、旅行記なんてついぞ読んだことがない。
 最初に思いついたのが、高校の時に読んだ太宰治の「富嶽百景」で、次が出なかったので、結局「富嶽百景」で書くことにした。
 書評レポートは大学1,2年の時によく書いたが、最近は専門のレポートばかりだったので、少し嬉しくもあった。
 
 それで、話は戻るわけだが、土曜に、図書館に行き、太宰の全集を手にとって実に数年ぶりに読んでみた。



 太宰治の「富嶽百景」や他の著作は、今では青空文庫でタダで読めるので、覗いてみるのもいいかもしれない。
青空文庫




 高校一年の時分に読んだ時の記憶は、富士山の麓で太宰がドテラを着て脛毛を出して、井伏鱒二が屁をこいたぐらいのものだったが、読み直してみると結構面白かった。

 太宰の富士山への悪態たっぷりの評論がいい。「実際の富士は鈍角も鈍角、のろくさと広がり、(中略)秀抜の、すらと高い山ではない」とか、「ニッポンのフジヤマを、あらかじめ憧れているからこそ、ワンダフルなのであって、(攻略)」などなど、言いたい放題。
 
 特に、御坂の富士をみて、「おあつらいむきの富士である」「これは、まるで、風呂屋のペンキ絵だ」「私は、恥ずかしくてならなかった」と感想を述べるのがいい。そりゃペンキ絵のほうが真似してるんだなんて、野暮なことは言わない。ペンキ絵を富士が真似たんだなんて言い切って憮然としてるのがなんともこの人らしい。

 ニッポンのフジヤマがワンダフルのくだりは、やっぱり高校の時に笑った覚えがある。いいセンスしてるよなあ。鹿爪らしく書いてるくせに、所々に微妙なユーモアが入っていて面白い。

 あと、下宿していた茶屋の娘さんの描写がかわいい。
富士に降った雪を見せようと、太宰を起こして、得意そうに《「素晴らしいでしょう?」》と普段使わないような言葉遣いになるお嬢さん、萌へ。

 あと、奥さんとの馴れ初めもいい。
 帰りにのバス停まで送ってくれた娘さん(婚約者)に向かって、「どうです。もう少し交際してみますか」(原文まま)と言う太宰。
 その後の一文が《きざなことを言ったものである。》ですよ。
 自分で言って、書いて思い出して、そこで照れてんのかよ、太宰。萌へ。

 他にも、太宰の姿をいちいち想像すると結構楽しく読める。

 おかしい。……なんか、数年のうちに、変なフィルターが脳内にセットされたようで、文学を妙な方向に楽しんでしまうようである。

 レポートは大真面目で書いたが、十分楽しめたので、中々得した気分になった。
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