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が、マ行の本棚におじさんが座り込んでいて、ちょうど「森」の辺りだったので、本を取れない。手持ち無沙汰で隣の本棚を眺めたいたところ、刺激的なタイトルがあったので、つい、手に取った。
山崎ナオコーラについては、文学賞取った時、ネーミングと、本書のタイトルのインパクトが大きくて覚えていた。朝日新聞の日曜に挟まれるbeにエッセイを連載していてそれを読んでいるということもあり、読んでみたいと思っていた著者でもあった。
おじさんは、中腰のまま、まだ本棚をにらみ付けているので、冒頭だけと思って読んでみる事にした。短かったので、結局全部読んだ。
人のセックスを笑うな 山崎 ナオコーラ 河出書房新社 2004-11-20 売り上げランキング : 137692 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
19歳の美術専門学校生の男と、39歳の講師の女の恋愛。これだけだ。
特に盛り上がる場面があるわけではなく、淡々と、男の視点から女との日々が語られる。39歳の女、さゆり(主人公はユリと呼ぶ)は、黒木瞳なみの妖艶美人……というわけでもなく、パーマをかけた黒い髪を伸ばし放題にして、化粧はマスカラと口紅ぐらい。笑うとしわが出来て、お腹にはそれなりにお肉が付いている、という描写。本当に、39歳年相応のおばさんで、旦那もいる。
性格だってことさら言い訳じゃない。自分の都合でしか会ってくれないし、メールも着信も返してくれない。性格は明るく穏やかだが、家事も出来ないし、それほど男に優しいわけでもない。アトリエをモデルとして尋ねてきた男にたくわんをお土産に渡すような女だ。
しかし、男はそこも可愛いという。歪んでいるから可愛いともいう。恋愛は、見かけでも打算でも、セックスの相性でもない。その存在が好きで、側にいれば嬉しい、離れれば愛しい。シンプルだ。
描写は簡素で淡々としているが、細やかな観察が心情を伝えていて、はっとさせられる文章だった。
が、うーん、正直、楽しめなかった。
あ、ここから書くことは、もちろん私の評価であって、この作品と、この作品を素晴らしいと思う人たちを非難するつもりはさらさら無いので、あしからず。
本書は、読み終わって本を閉じて、「で、だから何なんだ?」と思って表紙のタイトルをもう一度見て、「ああ、そうか」と思う。そんな感じの本だ。
タイトルのインパクトが強すぎる割に、内容は淡白だから拍子抜けしてしまうんだと思う。別に、作中で描かれる二人のセックスがどうこうっていう描写があるわけでもないし、笑われてるわけでもないのに、このタイトル。
淡々と、簡潔な文体で、描写も穿った感じではある。だけど、逆に言ってしまえば、どうも薄っぺらくて現実感が無いように私は思った。
盛り上がりがあるわけでもなく、終わり方も余韻を残す形だが、読み終わって、なんだか、物足りない気分になる。それを寂寥感と言い表すことも出来るが、どうにも……。
まあ、それは、私が最近娯楽モノしか読んでないせいで、低俗な山場やオチを期待してしまっているともいえるのだが。
あと、主人公の男とはほぼ同年代なのだけど、共感ができなかった。
主人公の女性の好みがおかしい、とは言いたくない。好みのタイプなんてものは、実際の恋愛とは関係ないと、私も思ってる。でも、違和感がぬぐえない。やっぱり、20歳年上の女性を恋愛の対象とすることに、同年代の男として少しも感情移入できなかった(もっとはっきり言ってしまえば、嫌悪感すら抱いた)のが原因なんだろう。未熟だろうか。
おそらく、男性であるか女性であるか、年齢がどれくらいかによって、感情移入の対象となる登場人物が違うと思うし、それぞれのの恋愛経験にも感想が左右されるだろう。そんな作品。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
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ア
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