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自称小説サイト管理人七貴の、書評とだらだらとした日常を送り続けるブログ。
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昨日宣言しておいて、情けない話ですが、もう更新に挫けそうです。
今日からまた短期のバイトに入りまして、少々疲れております。

さて、私の本棚蔵出し書評第一弾、『十角館の殺人』です。
最初ということならこれからだろうと思って選んだ一冊です。


十角館の殺人十角館の殺人
綾辻 行人

講談社 1991-09
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ミステリー作家、綾辻行人の1987年発表の処女作。
島田荘司の起こした新本格の流れは、この『十角館の殺人』をもって大きなムーブメントとなる。
この後、有栖川有栖、法月綸太郎ら、京都大学推理小説研究会の後輩らの登場が続き、森博嗣、京極夏彦、西澤保彦のデビューする90年代半ばに、新本格は隆盛を極めることとなるのである。

ようするに、この一冊は本格推理小説というジャンルを語る時に、絶対にはずすことのできない作品なのだ。

であるからして、当然内容も歴史的評価に値するものだ。

孤島の異形の館、十角館へ訪れた大学ミステリ研究会の7人が巻き込まれる連続殺人事件。

孤島側の7人と、本土側に残った主人公、河南(かわみなみ)孝明の二つの視点を交互に入れるという形式で描かれている。この二つの視点を交互に書いていくという形式は後にも綾辻が使っている手法であり、処女作ですでに使っているのはなかなか興味深い。


孤島での連続殺人という、形式は今ではベタとも言われてしまうが、今読んでみても、プロットの緻密さには驚かされるところがあり、色あせない。

メインのトリックも、語り継がれるほどのどんでん返しが用意されている。初めて読んだときにはしばし呆然とするしかなかった。
館シリーズの恒例である、「大仕掛け」は、十角館では抑え目の物となっている。この後、「大仕掛け」がどんどん奇想天外なものになっていくわけだが、この頃の綾辻はまだ謙虚だったということか。


まさしく、綾辻の稀代の傑作。
本格を読む人ならぜひ読んでおきたい一作。
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