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私は明日、東京へ一泊二日のミステリーナイトに参加してきます。
ミステリーナイトについてはここを参照。行ってきまーす。
さて、今日の書評は森博嗣『すべてがFになる』です。
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ちなみに、普段は文庫派の私ですが、森博嗣作品に関しては装丁がシンプルで非常にかっこいいので、ノベルス版を買っています。
講談社の主宰するメフィスト賞第一回受賞作品。
某大学の現役助教授が書いた小説というのが驚き。
デビューから10年近いですが、未だに一年に数作の新作をコンスタントに発表しているのは、同年代の作家と比べてすごいと思う。
N大学に通う西之園家のお嬢様、西之園萌絵(もえ)とN大学工学部助教授犀川創平はゼミの合宿でとある孤島を訪れる。
その孤島には、14歳の時に両親を殺害したと噂され、その後孤島の施設に閉じこもり、以来15年間、誰とも接触を持たずに研究を続ける工学博士、真賀田四季(まがたしき)の研究施設がある。
天才、真賀田四季との対面を楽しみにしていた犀川だが、彼女は外部との連絡を絶って一週間後、手足を切断され、ウエディングドレスを着せられ、電動ワゴンに運ばれた死体の状態で、発見される。
そして、彼女の部屋にあったコンピュータのディスプレイには「すべてがFになる」という一文が残されていた。
ネタばれはないです。
森博嗣が講談社に持ち込んだのは第二作となる『冷たい密室と博士たち』であり、『笑わない数学者』『詩的私的ジャック』『すべてがFになる』の4作が書きあがっていたが、編集部の意向でインパクトの大きい『F』を第一回メフィスト賞としてデビュー作になったようである。そのため、残りの3作は時間軸や細かい設定が直されている。
本作はメフィスト賞第一回受賞にふさわしい傑作である。
工学博士としての顔を持つ森博嗣ならではの、ロジカルでシニカルな感性と、専門的な知識を駆使したトリックの妙がすばらしい。文体も簡潔で乾いた印象があり、硬質で無駄の無い美しさがある。
工学の知識を利用したトリックがミステリー界に与えた衝撃は大きい。
ハイテク技術の粋を集めた研究施設、誰も入ることができないはずの真賀田四季の私室で行われた凶行。
不可能と思われるこの事件が、犀川の手により、ロジックとプログラムに解体され、緻密に練り上げられた計画として解き明かされる終盤はまさに鳥肌ものの展開だ。
そして、最後に真相が明かされるとき、我々凡人は真の天才の前に跪かされるのである。
森博嗣のミステリィはまさに彼にしか書けないものだと思う。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
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