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書評や日常ネタとは少し違うが、昨日行った絵画展の話しを一つ。
私は美術で2をとった(5段階だったことが救い)ことのあるような美術の才の無い男だが、絵を見るのは嫌いではない。もちろん良し悪しはまるで分からないけれど。
「“飛べなくなった人”異才・石田徹也-青春の自画像-展&マイコレクション」に行ってきた。
その絵画展は別に大掛かりなものではなく、市街の片隅の小さな会場で行われていたものだった。
駅でポスターを一枚見かけただけなのだが、思わず足を止めてしばらく眺めてしまった。どうしても行きたくなって携帯で写真を撮ってわざわざ調べて足を運んだという次第だ。
石田徹也という人は静岡県焼津市出身の人だったらしいのだが、まるで知らなかった。ちなみに、わざわざ「だった」と私が書いたのは、石田さんは私が知る前に2005年に事故で亡くなっていたからだ。
知らない人はぜひこのページを開いて欲しい。たぶん一目見ただけでその世界に引きずり込まれると思う。
石田徹也追悼展 「漂う人」
現実感が在るようで無い薄暗い世界に、少年のような顔の男が居る。丸刈りの頭に、太い眉。その瞳は焦点を合わせず、ただ虚空に視線を泳がせている。
会場に入った時の異様な光景が目に焼きついている。壁に掛けられた数十枚の絵には、ずらりと全てその男が描かれていた。
男は機械になったり、虫になったり、変形したりと異形に成り果てている。
そして企画展の入り口には一枚の写真が掲げられている。絵の男にそっくりな顔だが、少し控えめに笑っている男の写真だ。石田さんだった。
そこにあるのは怒りではなく、静かな悲しみのように思えた。
この人は、生きているのが辛かったんだろうな、と感想を抱いた。
私たちが心の底で分かっていて、見ないふりをしている社会の現実……それを石田さんは怖くて辛くて仕方が無かったはずなのに、それでも描き続けた。そんなことをぼんやりと思った。
まあ、とにかく心に突き刺さる絵画展だった。絵心の無い私がこれだけ貫かれる絵なのだから、誰が行ったって心動かされるだろう。
それだけは保証する。
遺作集も出版されているけれど、ぜひ、大きなキャンバスに描かれた本物に出会って欲しい。
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ちなみに、駿府博物館での展示は今月28日まで。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
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