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忙しければ数ページも進まない日もあったが、少しずつ読み続けた。
連載小説みたいなもので、これはこれでよい読み方だなと思ったり。
恋するA・I探偵 ドナ・アンドリューズ 島村 浩子 早川書房 2005-08-09 売り上げランキング : 262582 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
てなわけで、『恋するA・I探偵』です。
わかりますね?タイトルで手に取りました。こっぱずかしくて、ゴロがいいのでつい手が伸びてしまいました。
あらすじ
舞台は現代のワシントン・DC。あらゆる顧客の要望にこたえる情報サービス会社<ユニバーサル・ライブラリー>社。
そのUL社で働くチューリング・ホッパーは、有能で賢くてチャーミングで、顧客にも社員にも大人気のりサーチャーである。
顧客はおろか、社内の人間だって、初めて聞けば驚くよりも、信じられないだろう。実は彼女は人工知能(AI)なのである。
そんな彼女の生みの親、プログラマーのザックが突然失踪してしまった。
世界中のミステリを読み込んでいるチューリングは、友人たちの助けを借りてザックを探そうとするのだが……。
とにかく、チューリングがかわいい。
世界中のデータベースとシステムにアクセスできる彼女は回線さえ繋がっていれば出来ないことは無い最高の能力の持ち主なのだが、強気で自信にあふれた物言いとは対照的に、その心は十代の少女のように純粋で、好奇心旺盛で、繊細で傷つきやすい。
味覚も無いのに趣味は新作料理のレシピ作り。
親しい人と話す時は顔文字混じり「アハハハ!(≧▽≦)」
いたずらをしてみたり、ザックのことを思って落ち込んでみたり、本当に、AIのチューリングがいたらいいのにと思わせてしまう魅力がある。
AIなだけに、システムの中にいる彼女の一人称は、専門用語が飛び交うが、それも読み飛ばせるくらいに専門性は抑えられているので問題なし。
彼女の生きている世界を感じられるのは面白い。
現実での行動に制限がある彼女の手助けをする、二人の友人たちも魅力的。
オールドミスの秘書のモード。チューリングに劣らず有能で、特技はモールス信号。AIとは分かっていながらも、チューリングとは親友で的確なアドバイスをくれる
ハードボイルドにあこがれるコピー係のティムは、チューリングのことを赤毛の女の子と妄想している。天性の情けなさをあちこちで見せてくれる彼はしかし、憎めない愛すべき人物に描かれている。
内容はミステリというより、文字通り探偵小説。
謎の黒幕とチューリングたちの情報戦、頭脳戦がテンポよく連なっていて飽きない。
しかし、終盤の展開には少し不満も残った。
チューリングの親であり、恋の相手である、ザックが思ったよりも話の中心に来ないのである。
ネタばれは避けたいが、ザックに会いたい一心でチューリングは大冒険をしていたのに、いざ登場の段になると、チューリングや読者が想像したような展開にはならないんだよね。(曖昧な言い方ですまないが)
もっと、チューリングとザックの関係を重視して展開させていれば、終盤の失速は避けられたかなと私は思う。
しかし、チューリングの魅力は保障するのでぜひ。
アメリカでは既にシリーズ4作が出ているとのこと。ぜひもっとチューリングに会いたいと思った。ぜひ続刊を翻訳希望。
……日本人がプログラムしたら、もっと媚び媚びの美少女AIになってたんだろうなと思ったり。
以前書いたこともあるが、これはアクセス解析のアイコンである。
日に二桁行けばいいようなブログだが、ここにたどり着く人はいろいろなワードで検索しているようだ。
書評ブログなので、本のタイトルや作者名で検索してこられる人が多いのだが、このひと月で急激に増えた検索ワードが「ペンギン革命」だったりする。
ペンギン革命 5 (5) 筑波 さくら 白泉社 2007-04-05 売り上げランキング : 2036 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ペンギン革命については以前「筑波さくら『ペンギン革命』(1)~(4) 正統な白泉社の少女マンガ設定だけど、ほのぼの癒し系」という記事を書いたのだが、これが最新刊の発売で検索上位になっているようだ、と思ったのだが……。
検索ワードのほかに、このアクセス解析ではワードの組み合わせでの検索数も出るようになっている。
それを見て驚いた。
2位の組み合わせは
「八房龍之介」(本当の表記は龍之「助」なのだが)
これは前から多いワードなのだが、驚いたのは1位と3位。
1位「ペンギン革命 小説」
2位「ペンギン小説 夢/小/説」(スラッシュは都合上入れてますが)
なんですかこれ。(夢/ 小/ 説)で検索するとすごいページがたくさん出てくるのだが。
どうも、このサイトにペンギン革命で検索してきている人は、書評を求めているわけじゃないようだ。他に創作小説をセカンドワードに入れている見たいだ。
小説の創作もたまにやるのでどうもこの手の検索は多いが、残念ながら、二次創作はしないので、ご了承願いたい。
そういう小説を探してドキドキしながら検索した結果たどりついたのが私のブログかと思うと、
ついでというか、乗りかかった船なので、5巻のレビューを。
5巻は綾織真のスキャンダルから、芸能事務所ピーコックとかつての大女優丘よう子の過去が次第に明らかになっていく。
丘よう子の引退の原因となった交通事故の運転手が綾織の父親だったというスキャンダルが安岡プロにリークされ、さらに丘よう子をモデルにした映画が綾織のいとこ、真柴麗奈の主演で公開されてしまう。
ピーコックは窮地に陥るかと思われたが、社長は極秘に事務所の総力を注いだ映画を製作していた。それは安岡プロと同じく丘よう子の半生を描いた映画で、その主演はなんと葛城涼と綾織真だった。
3巻4巻は奈良崎譲の話が中心だったが、ようやく今まで名前だけの存在だった丘よう子にスポットライトが当たった。
ゆかりの憧れの大女優で、涼の母親、社長の妻、そして綾織の父が起こした事故で引退した丘よう子。この漫画の中心人物でありながらぽっかりと空白となっていた彼女の真実が二人の主演の劇中映画で明らかになっていく。
過去の話は必要になると思ったが、それを劇中映画にしたのは少し面白い。
丘よう子と社長の過去の一件があって、二人の子である涼と、事件と深い関係がある真がそれを映画として演じている。さらにそれを鑑賞しているゆかりがいるという場面だ。
過去と現在の二つの時間軸にまたがっていて、さらにそれが映画であるというメタ的な構造になっている。
役の人物と、役者、それぞれの心理を考えるといくつもの見方が生まれてきて楽しめた。
にしても、多少突っ込みどころも。
軟禁されている涼を助けたゆかりたちに、社長がヘリで迎えに来るとか(噴き出した)、いくら美少年といっても女装して映画で主演とか、ちょっとと思うところもある。
でも、まあ、楽しめればいいわけで、少女マンガに突っ込むのは無粋というものなのだろうね。
長文考えるのも少々しんどいのだが、更新をこのまま休むのも銅貨と思う。なので読んだ本を短く紹介していこうと思う。
春期限定いちごタルト事件 米澤 穂信 東京創元社 2004-12-18 売り上げランキング : 32170 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ミステリーではあるが、学園モノで事件も殺人などはなく、日常の謎といったところなので、ライトノベルの感覚に近い。小鳩くんと小山内さんのキャラクターは一見よくあるタイプなのだが、おもしろいひねり方をしていて楽しめた。謎解きよりも小山内さんの正体こそこの小説のミソ。甘いと思ったイチゴが実は梅干だった、みたいな。
誰か Somebody 宮部 みゆき 光文社 2005-08-20 売り上げランキング : 55674 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
宮部みゆきのミステリ。
今多コンツェルン会長の娘と恋愛結婚し、娘をもうけ、コンツェルンの広報室に勤務する杉村三郎は、義父のある頼みを受ける。
それは、会長の専属運転士だった父親の一生を本にしたいという娘二人の手助けをすることだった。
運転士だったと男は少年の乗る自転車に撥ねられ、帰らぬ人となっていた。娘二人は本を出すこで名乗り出ぬ犯人に父のことを知らせたいという。杉村は男の過去の調査を始めるのだが……。
愛する妻と娘、義父はコンツェルンの会長、不満の無い仕事、何不自由ない生活……主人公、杉村は自他共に認める幸せ者だ。
でも、幸せとはなんだろう。
そんな問いかけがただよう小説である。
事故死した運転手が最後まで秘密にしようとした過去に何があるのか。それが明らかになったとき、人は誰しも秘密があって、分かり合えないものであり、誰もが不幸せであり、だからこそ幸せでいられるのだ、そんなことを思った。
トリックやロジックといった面白さのある小説ではないが、心に何かを残す作品である。
パーフェクト・ブルー 宮部 みゆき 東京創元社 1992-12 売り上げランキング : 50188 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
『誰か』と共に古本屋で買った一冊。でも手元にあるのは表紙のイラストがひらいたかこの描いたジャーマンシェパードのものである。
引退した警察犬マサは蓮見親子の経営する探偵事務所で暮らしている。
高校野球のスター、諸岡克彦の弟進也を家出から探し出すという依頼を受けた蓮見探偵事務所だったが、一向は進也と共に、ガソリンで火をつけられた諸岡克彦の遺体を発見してしまうのだった。
犬の視点から物語を見るというのが面白い一冊。
高校野球のスターの死と、製薬会社への恐喝事件。関係ないように思えた二つの事件の絡み合った糸を解いていくと、そこに罪深き真相があきらかになっていく。
この作品は宮部の初長編である。初長編でこれだけの作品を書いたことに素直に驚くが、近年の作である『誰か』に比べると粗が目立った。
高校野球や薬剤についてかなりの取材を行ったことは窺えるが、それが消化しきれなかったのだろうか、真相を全部ぺらぺら喋らせてしまったのは巧くなかった。同じく取材の労が感じられる『誰か』はそれをストーリーと設定の中に巧く消化していることが相対的に分かった。
マサの視点も少し無理があったように思う。ご都合主義で犬にしては頭が良すぎるし、うまくいきすぎる。まあ、犬が完全に人間の言葉を理解しているって時点でファンタジーなので野暮なことは言いたくないが。
東野圭吾の人気シリーズの湯川学の登場する作品。
平成17年下半期、第134回直木賞受賞作。あるいは2006年「このミステリーがすごい」1位。
容疑者Xの献身 東野 圭吾 文藝春秋 2005-08-25 売り上げランキング : 6764 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
高校の数学教師である、石神哲哉は隣人の花岡靖子が元夫を殺してしまったことを知ってしまう。靖子へ恋心を秘めていた石神は、その純粋な想いから彼女を守るため、完璧な隠蔽を実行する。
しかし、その前に立ちはだかる。
天才数学者が己の全てをかけて作り出した完璧なる証明問題にたいし、かつて帝都大の同期であり、好敵手と認め合った湯川が挑む。
読み終わった時泣いた。
『手紙』の時も泣かされてしまったが、まさかミステリーで泣かされるとは思わなかった。
石神という人物にこれまでに無いほど感情移入してしまい、読んでいる中でとにかく心が締め付けられた。
誰にも認められない崇高なる天才が考えた、あまりにシンプルでそれ故に残酷なトリックは、驚くというよりその純粋な想いがただ悲しい。
ミステリーとしてここまで読ませる作品もそうあるものではないので、読み物としては大いに満足している。
トリックは現代本格においてそんなに目新しいものではない。
しかし、組み合わせ、というか文体と構成と展開の妙で、読者を引き込ませてしまうので気づきにくい。
ネタばれを避けるために抽象的な表現になってしまうが、作中で石神が仕掛けるトリックと、作者が読者に対して仕掛けるトリックがうまく作用しているのだ。
おそらく、私のようなミステリ好きの中級者はかなりの確立ではまってしまう仕掛けだと思う。
この作品の中心にあるのは石神の数学者としての「純粋さ」である。
この作品ではその「純粋さ」を「愛」として描いているわけだが、その純粋さは一歩引いて見れば狂気ともいえる代物なのである。
そこに気づかず「純愛」として感動を見出すのもいいだろう。そして、「純粋なる狂気」に気づき、そこに悲哀を感じるのもまたこの作品の読み方だとも思う。
ただ、東野がこの物語をただの「独身数学オタクが隣の女に惚れた挙句、ストーカー的な妄執で犯罪を犯す」という話に書かなかったことは間違いなく褒めていい。
ところで、話は少し変わるのだが、2006年のミステリ界はこの『容疑者X』の話で持ちきりだった。
二階堂黎人の黒犬黒猫館の容疑者Xに関する評論に端を発するミステリマガジン上で繰り広げられた論争のことである。
くわしいことは検索でもして欲しいところで、省く。
容疑者Xの献身を読み終わった後、図書館に駆け込んでミステリマガジンを2006年3月から半年分借りて読んだわけだが、いやー現代ミステリ界をしょって立つ作家やミステリ評論家が一つの作品について真剣に向き合い、ミステリ界の現状について書いた文章は本当に面白かった。
しかし、通しで読むと二階堂黎人の議題の持ってきかたのまずさがはっきりと分かる。
彼の主張は結局「容疑者Xは広義のミステリだが、本格ではない。よって、ミステリ評論家の評価が高いことは許せない」というものだった。
でも、06年3月の同じミステリマガジンに掲載された笠井潔の主張は違うのだ。「容疑者Xは本格ではあるが、難易度の低い本格である。よって、ミステリ評論家の評価が高いことは許せない」これが笠井の主張である。
二階堂と笠井は同じく容疑者Xの世間の評価に疑問を持っているがスタンスは全く別だった。
その後、半年に渡ってミステリ界の偉人たちが論争に加わるのだが、容疑者Xが本格であるという点には疑問が出なかった。
つまり、結局のところ二階堂はの主張は論争の発端となったが、それは同じく声を上げた笠井に否定されてしまっているんだよね。これは少し哀れに思えた。
誌上の評論合戦も、「容疑者Xは本格ミステリだが、評論家やランキングでの高評価は妥当なのだろうか」という論点にシフトしていったように思う。
笠井の主張どおり、難易度の低い本格ミステリは評価に値しないのか。
難易度の低い高い(ミステリマニアがトリックを簡単に推理できるかどうか)が作品の良し悪しに繋がるのか。
そもそも、容疑者Xのトリックは質が低いと断言していいのか?簡単にわかるというが、そうなのか。
いや、トリックが云々というより、容疑者Xのストーリーだって手放しに褒められるものではないじゃないか。
こうした各自の論評から透けるのは、何が作品を本格ミステリたらしめるのか、本格ミステリの良し悪しはどこできまるのか、という「本格観」の問題だったのだ。
80年代終わりからの新本格ブームとその後のメフィスト作家やライトノベル作家らの登場によるミステリジャンルの解体、拡散の動きとも関連づけられそうで、中々有意義な論争だったと思う。
ここで私の本格観なんて語るのは野暮なので止めておこう。
ともかく、これだけ高い評価を与えられ、その一方で論争が起こったというのは、この作品に語られるだけの価値があった、ということだろう。
本当この書き出しも多いな。
春から新入社員になって3日目。研修にいっぱいいっぱいの状態。
とても本なんか読む気分にならない……。
というわけで、わりと余裕があった頃に読んだ本の感想を短く書いていくことにする。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
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ワ