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ショックだ。
同じネタで文章を書き直すのは悔しいし苦痛なので、何か別の本を取り上げることにしよう。
ああ、そういえば前に読んだ『なつこ、孤島に囚われ』の書評があった。
お蔵入りになっていたが、これを引っ張り出してみよう。
なつこ、孤島に囚われ。 西澤 保彦 祥伝社 2000-10 売り上げランキング : 178756 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
西澤保彦『なつこ、孤島に囚われ』
西澤保彦の森奈津子シリーズ第一作。
奈津子シリーズはファンの評判が、言ってしまえば、微妙だったため読まなかったのだが、安く手に入ったのもいい機会だと思い読むことにした。
その名のとおり、同名の女性作家、森奈津子をモデルにしたシリーズで、他の実在作家も登場人物として出演している。
バイセクシャルで「異端の百合作家」、森奈津子は、目覚めると孤島の別荘のベッドの上にいた。
どうやら、見知らぬ女性に拉致されたようだが、島には奈津子の他、誰もいない。
目の前には青い夏の海、冷蔵庫には毛蟹とビール、書棚には奈津子の趣味に合う蔵書があり、彼女は自分の状況もよく分からないまま別荘での生活を楽しんでしまう。
自分のいる島を〈百合島〉、向かいに見える島を〈アニキ島〉と名づけた奈津子だったが、1週間後、〈アニキ島〉で死体が発見されてしまい……。
140ページ強の中篇なので、すぐに読めたのだが、なんというか、疲れる作品だった。
奈津子の一人称で物語は進むが、独特の思考と性格、ジュブナイル小説を意識した文体がきつく感じられたし、その上、官能小説のような妄想と展開が入り混じって、どうにもイロモノに仕上がっている。
私はヘテロ至上主義者でも、同性愛者差別の気もないが、レズビアン描写が正直言ってどぎつく感じられた。
「孤島の謎」についても、消化不良の感がある。推理も強引だが、真相はさらに強引……というか、ごり押しとか無理やりとかいうレベルではなく、……その、ひどい。
なんだろう、森奈津子、というキャラクターを楽しむ小説だとは思う。
私が作家、森奈津子の著作を読んでいないのが楽しめない一因なのかもしれないが、西澤の作品の中でも個人的にワースト。
あまり、この表現は使わないように心がけているのだけど、あえて使う。「読み手を選ぶ作品です。」
……余程不満だったのだろうなあ私。
ちなみに、これを書いたのが11月中旬のころ。
書いては見たものの、森奈津子の作品を読まずになつこシリーズを語るのはいかがものかと思い、封印していたのだ。
では、森奈津子の著作を読んでみた今の私はどう書評するだろうか。
今読み直してみると、西澤が森奈津子の思考と文体を忠実にトレースしているのが分かる。
これは見事。読んだ当時はいい歳したおじさん(失礼)の西澤がどんな顔してこんな文章書いてるんだと思っていたが、ここには敬意と愛が込められていることが分かる。
バイセクシャルの描写とか、なつこの妄想癖とかがいかにも森がしそうで、自然だ。なるほど、知らなければただの妄想変態ミステリだが、森奈津子を知れば純然たるパロディというか、パスティーシュだということが分かる。
そう考えれば、まあワーストという評価は撤回できるかもしれない。ミステリとしては目も当てられないオチだが、森奈津子パロディとしては正しく“らしい”小説だ。
それにしても、[森奈津子ファン]かつ[西澤保彦ファン]ってあまりにも対象とする読者が狭いのではないだろうか。
そこで、というか実は、少し前から段階的にSFに挑戦する計画を立ててきた。
それが西澤保彦→森奈津子→高畑京一郎→ハインラインという流れなのだが、これはSF好きの人に言ったら怒られそうだな……。
この取り合わせは好きなミステリ分野で、中でも気に入っている西澤保彦から出発して、同氏の森奈津子シリーズからギャグエロSFの森奈津子(本物)へ、ライトノベルでかつ高評価を聞いていた高畑京一郎を経由して、ミステリファンの自分でも知っているSFの大家ハインラインの傑作へという自分なりに考えての流れだったりする。
前置きが長くなったが、書評に移ろう。
夏への扉 ロバート・A・ハインライン 福島 正実 早川書房 1979-05 売り上げランキング : 16889 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本は読んでるんだけど記事を書くだけのモチベーションがないというか……。
まあ、そんななか、今本を読み終わって感想書きたくてたまらんっ!という本にめぐり会えたのでこうしてタイプしている。
FATE/ZERO
虚淵玄
TYPE-MOON 2006-12-26
これ、普通の本屋には売っていない本です。
いわゆる同人誌。
事情の分からない人に向けて掻い摘んで説明しますと、TYPE-MOONという会社の作った成人向けパソコン用ゲームに『FATE/STAY NIGHT』というものがありまして、これが非常に面白いゲームなのです。
で、一方ニトロプラスという―これも成人向けゲームを作っているとこなのですが―会社に虚淵玄という非常にカッコいい漢くさいシナリオばかり書く有名なシナリオライターさんがいるのです。
これは会社が違うわけで本来ありえないタッグなのですが、虚淵玄がなんとFATEの外伝を書くという事態になって両者のファンを驚かせたわけです。と、これがその本なわけで。オフィシャルだけど同人誌。だからこそ実現できた夢の競演なのです。
FATEや虚淵玄をもっとよく知りたい人はタイプムーンとニトロプラスのサイトをご覧ください。
発売日に買ったものの、あまりに好きすぎて、読むことすらもったいない。しばらく表紙を見てはため息をつく日々。
一日一話読み、あれこれ考えながら、ようやく読み終わった。乙女か私はは。
DDD 1 奈須 きのこ こやまひろかず 講談社 2007-01-10 売り上げランキング : 24 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ネタばれは無し
マリア様がみてる―クリスクロス 今野 緒雪 集英社 2006-12-22 売り上げランキング : 339 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
以下、感想
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
アクロイド殺人事件(アガサ・クリスティ)
生贄を抱く夜(西澤保彦)
異邦人 fusion(西澤保彦)
エジプト十字架の謎(エラリー・クイーン)
江戸川乱歩傑作選(江戸川乱歩)
解体諸因(西澤保彦)
彼女が死んだ夜(西澤保彦)
99%の誘拐(岡嶋二人)
黄金色の祈り(西澤保彦)
クビキリサイクル(西尾維新)
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極限推理コロシアム(矢野龍王)
皇国の守護者(佐藤大輔)
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小生物語(乙一)
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全てがFになる(森博嗣)
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麦酒の家の冒険(西澤保彦)
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ワ