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自称小説サイト管理人七貴の、書評とだらだらとした日常を送り続けるブログ。
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約一年間積読していたムシウタを読了。


今年のアニメ化企画が進行中とか。
もしかして、人気ないんじゃないかと思ってただけに嬉しい報告で、ようやく続きを読む気になった。

ムシウタとは一巻を書店で見かけてジャケ買いして以来の付き合いだ。おかげでるろおのファンにもなれた。

あらすじとしては、思春期の少年少女に寄生し、人の夢を食らう代わりに超常の力を与える“虫”という存在が出現した現代が舞台のお話。

世間に“虫”の存在を隠匿し、虫憑きを捕獲あるいは駆除する秘密組織特別環境保全事務局――通称特環は、虫憑きの自由のために戦うレジスタンス組織「むしばね」と対立していた。
 特環の局員カッコウは虫憑きたちの争いを終わらせ、同じく虫憑きの少女ふゆほたるとの再会の約束を果たそうとするのだが……といったかんじ。


単なる能力バトルに終始せず、虫憑き一人一人のスタンスや叶えたい夢がしっかりと書き込まれている作品である。

一巻では「特環 対 むしばね」という単純な図式だったが、巻を重ねるにつれて、特環内部の派閥対立や中央本部の不審な動き、むしばねの組織としての建て直し、一般人から虫憑きへの恐怖や嫌悪、虫憑きを生み出す「始まりの三匹」を巡る各人の思惑なんかが複雑に絡み合って、次々と状況が変化していっている。

難点を言えば、登場人物が多すぎる点か。
メインのキャラだけで十人は超えるのだが、サブキャラクターを入れると三十人を超える勢いなのでたまらない。
作者も意識的に登場人物の外見や性格、口調などの特徴は大げさにつけているので覚えられないものの何とか読める。変化をつけすぎてあんまりなキャラクターが多いのも人によっては鼻に付くかもしれない。

各巻ごとに、あるいは各章ごとに視点者が変わるのも困りもの。おかげで毎回物語に没頭するのに中盤ぐらいまで耐えなければならない。

『涼宮ハルヒシリーズ』のキョンの一人称視点もかなり癖のある文体だが、ムシウタに比べればはるかに読みやすく感じる。

しかし、キャラクターの多さや設定の多彩さもこのムシウタシリーズの魅力であることに違いはない。


で、7巻だが、非常に面白かった。

このシリーズ、主人公のかっこうの出番がおっそろしく少なく、一冊丸々蚊帳の外なんてこともざらである。7巻も存在感の割りにご本人の出番はゼロで、サブキャラメインの外伝的な話だったのだが、これが非常に良く出来ていた。

片田舎で虫憑きが生まれた反応があるのにその瞬間に消えるという不可解な事件が起こる。そこに東中央支部から派遣された緒方有夏月(おがたあかつき)が事件の背後にいる「魔王」なる存在を捜査することとなる。そこで南風森愛恋(はえもりあこ)と佐藤陽子の二人の少女と出会うこととなる。

……中盤から物語の枠組みがギリギリと捻じ曲がっていき、終盤にきて一気に反転し、展開が加速する。「魔王」が正体を現すまでの伏線の積み重ねが非常に活きていて、鳥肌が立った。
メインの話ではないからと期待せず、積んでいた自分を恥じる。うん、おもしろかった。


せっかく2月に8巻出ていたのだからさっさと買って読むことにしよう。
願わくば、主人公とヒロインが登場していますように。
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