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お盆に入ってちょっと気が抜けてたみたいです。
今は先日買った『ひぐらしのなく頃に解』を始めたとこです。
気が向けばレビューを書くかもしれません。あくまでも“気が向けば”ですが。
さて、今日の書評は西澤保彦『夏の夜会』です。
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久しぶりに帰った郷里で小学校時代の友人の結婚式に出た主人公。友人達だけの二次会はさながら小さな同窓会だった。
そこでふとしたことから話題になる、30年前に起こった未解決の女性教諭殺人事件……。
ああ、そんなこともあったねと、座は盛り上がるが、各人の話はどこか食い違っている。遠い記憶を手繰り寄せる友人たち。
おぼろげで、不確かで……嘘と勘違いと自己欺瞞に満ち溢れた『記憶』の茂みを掻き分け、主人公たちは事件の真相を蘇えらせる為、夏の夜会が始まる。
何かと勘違いしていたり、別の記憶と混ざったり劣化したり……記憶というのはあやふやなものだ。
本作の登場人物のうちで当時のことを完璧に記憶している者は、主人公を含め、誰一人としていない。
そもそも、主人公は事件があったことさえ忘れていたりするのだ。
誰もが確かに覚えていると自信ありげに語り、しかしながら、誰の記憶も確かな証拠などありはしない。
記憶の確実性を前提とする推理小説において『記憶の不確実性』をテーマにした作品はタブーとも言える、が、それをやってしまうのが西澤らしいところか。
西澤得意の複数人のディスカッション形式を使い、演繹によって驚くべき『記憶』の真相が明かされる(その点で確かに推理小説と言える)。
が、しかし主人公はついに最後までそれを事実かどうか確かめようとはしない。故に真相=真実と言えず、熱帯夜に掻く汗のように不快な、後味の悪さの残る作品となっている。
お勧めは決していないが、ある意味で推理小説ファンの頭を冷やしてくれる作品とは言える。推理小説とは、かくも不安定な足場に立った代物なのかを思い出させてくれるのだ。
一読の価値は保証する。
本作は読者に問いかける。
――その記憶、本当に間違いはありませんか?
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
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