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先日読んでプロットの精密さに感動した『タイム・リープ』の高畑京一郎の小説。
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以下、感想
川崎涼介は見知らぬ家の部屋で目覚めた。香港の父から預かった小包を狙う謎の男の拳銃を避けようとして廃ビルの屋上から転落したのは覚えていた。不思議に思いながらも自宅に戻ると、そこで自分の葬式を見て驚く。
川崎涼介は、転落した場所に偶然いた浦和涼介の体で目覚めていたのだった。
『タイム・リープ』では変則的な時間移動を緻密に書き上げた高畑京一郎。『タイム・リープ』に続く本作のテーマは“二心同体”。
川崎涼介が目覚めていられる時間は短い。川崎は自分の妹と体の持ち主である浦和の協力を得て、自分を死に至らしめた男に復讐を誓う。
川崎と浦和両主人公の視点が交互に描かれるのだが、入れ替わりなので二人の涼介はコミュニケーションが取れない。そこに川崎の妹亜季が協力することでなんとかやり取りが成立する。その絶妙な設定がおもしろい。
対照的な二人の考え方や行動の違い。お互いへの思い。入れ替わりという制限などを巧妙に活かしている。叙述を利用した伏線も効果的で見事。
しかし、インパクトでいえば、タイム・リープのすごさには少し見劣りしてしまう感じではある。まあ、それはタイム・リープが偉大すぎるのであって、ダブルキャストが傑作であることには変わりない。
浦和涼介の通うのが前作と同じ東高で、若松の名前や、関親子が登場するところは前作の読者には嬉しい。
２冊読んでみていずれも傑作というのはなんとも幸せ。
次はデビュー作の『クリスクロス』を読んでみようか。
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面白い話が出来るほど特異な人生も送っておりません。
二十台の男。弱小小説サイトの管理人です。
何かの縁です。どうかよろしく。
ア
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